猪崎有佳 新曲考

昨年の事になってしまうが・・・。
私にとってその日は、彼女の何度目かのライブだった。
「これは新曲です」という言葉に、私は思わず身を乗り出した。
お友達の結婚を祝う歌だった。
仲の良いお友達を思って作られたのであろう、それは可愛らしい歌だった。
「次の歌も新曲です」
そして歌われたのは、「うさぎさん」という曲だった・・・。

ライブから暫くして、彼女はご自身のHPを作られた。
ご自分の歌詞もサイトに掲載されているので、
もう見られた方も多いだろう。
しかし、その前にこの曲を聴く事が出来た私に、
それは不思議な感覚を覚えさせたのだ。

眠っている「うさぎさん」を横目に、追い抜いていくのは「カメ」だ。
その歌も、最初はそのように見受けられた。
ところがこの「カメ」は、「Wake up」としきりに連呼して、
「うさぎさん」を起こそうとするのだ。
「うさぎ」を起こす「カメ」はいない。
それでは、これは「カメ」ではないのか?
では、何だ?
この「カメ」は、いったい何者なんだ?
曲を聴いてるうちに、その疑問は私の頭の中を駆け巡った。

そして、ふと気付いたのは・・・。
この「カメ」はカメではなく彼女自身なのだ。
これは、とんでもないメッセージソングなのではないか?
私の印象は、それだった。

今の世の中は殺伐としすぎている。
「早く目を覚まして! 早く気付いて!」
彼女の訴えたい事が、それなのではないかと思えた。
言葉では、張り合いがないと歌ってはいるが、
確かに認識が甘い現代人に、張り合いはないのではないか?
政治家しかり。無気力な若者しかり。
そうでない人々が大勢いるのは事実だが、
マスメディアを通して訴えてくるのは、一部の情けない人間の実態で、
それが全体像に繋がってしまう恐ろしさは、えもいわれぬ事でもある。
だからこそ、彼女はその思いを込めたのではないかと思うのだ。

うさぎを起こしたカメはどうするのだろう?
このカメが彼女自身であるなら、
きっと、手に手を取って走るのだろう。
共にゴールするまで・・・。

祈夢



私の曲をこんな風に受けとめて頂いて、私にとっては何よりの幸せです。
毎回、祈夢さまの感じ方には、とてもオベンキョーさせて頂いております。
特に「うさぎさん」という曲は、祈夢さまに限らずいろいろな方から様々な反応がありました。
もちろん、私は私なりの心で曲を描いております。
この曲が出来た時も、当時の私の「ある想い」がありました。
私は「カメ」であり、そして「うさぎ」でもあります。
しかし、曲というものは受けとり方でさまざまに変化するものであるように、
歌う心もまた、その根底を中心に、皆様の心に触れながらどんどん膨らんでゆくものだと感じております。
祈夢さまのこの文章を読んで、また更に私の歌(心)も膨らみを増してゆくでしょう。
そして、曲を聴いて頂き、それぞれに何かを感じて頂ける事こそ、
私にとっての最も充実する場所(時間)であると、つくづく実感しております。
これからも、皆様に良い意味で何かを感じて頂ける歌い手を志しながら、
がんばって歌っていきたいと思っております。

祈夢さま、いつもありがとうございます♪ *^^*

                   by ユカ



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